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「君は何のために『船鐘』を手に入れようとしたんだ。そして……」
目だけが研いだ刃の様に光るヴィズルのそれを見つめながら、シャインは言葉を続けた。
「何故、アドビス・グラヴェールの名を口にする? まさか、あの人が君に何かしたのか!」
炎が巻き起こす風に銀髪を舞わせながら、ヴィズルが射ぬくような視線を向けた。
シャインは息を飲んだ。
「奴か。奴は……俺から大切な物をすべて奪い去った。だから!」
暴発しそうな感情をぎりぎりまで押さえたような、かすれ声。
「今度は俺が、奴のすべてを奪ってやるのさ!」
ヴィズルが銀髪をひるがえし、十歩の距離を三歩で詰める。
「地位! 金に、海軍!」
右から斬り下ろされたその一撃を、シャインは右手に持った剣で受け止めた。
刃と刃がぶつかり合う。
が、ヴィズルの力が強い。シャインは押されて支えきれず左手も柄に添える。
目が合った途端、ヴィズルは小さく囁いた。
「そして、お前だ」
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