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間髪入れずヴィズルの右足がシャインの左脇腹をえぐる。
視界が一瞬真っ暗になり剣を握る力が指から抜けた。
「……!」
ヴィズルの剣に押し切られ、その剣先が肩を掠める鋭い痛みに、シャインは目を見開いた。
ヴィズルが手首を返して、下からすくい上げるように一閃するのが見える。
シャインは右手に握った剣で、反対に上から叩き付けるように振り下ろした。
渾身の力を込めたそれはヴィズルの剣を弾いた。けれどその反動で、シャインは後ろによろめき、艦長室の唐草模様の浮き彫りを施した扉に背中を預けた。
「あっ……」
寄りかかった弾みで膝から力が抜ける。
ずるずると扉に背を預けたまま、シャインはその場に座り込んでしまった。
口の中にこみ上げてきた塩辛いそれを、不快感も露わに吐き出す。
その刹那、吹き付ける炎の熱と明かりが急に失せた。
前に誰かが立っている事で、それが遮られたことに気付いたシャインは、ゆっくりと顔を上げた。冷たい月光の光を宿した剣の切っ先が、ぴたりと喉元へ突き付けられていた。
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