3-27 憎しみの炎

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 シャインはヴィズルを見上げた。  口元をぐっと噛みしめ、無言で見下ろしている憮然とした顔を。  シャインは右手に持ったラフェールの剣を握ってはいたが、それを振るう気にはなれなかった。ただ、自分を見下ろすヴィズルの顔をじっと見ていた。  沈黙に耐えきれず、視線をそらしたのはヴィズルの方だった。 「お前はいい奴だ。少なくとも、アドビスの息子だってことが信じられない程でね……俺はお前を気に入りかけた」  それを聞いてシャインはふっと笑った。  何だかすごく可笑しかった。 「そうかい。俺も君の事……いい航海士として気に入っていたんだけどね」  蹴られた左脇腹に鈍痛が走って、シャインは顔を歪めた。 「でも、そうじゃなかった」  くっくっくっ……と、今度はヴィズルが低く笑う。  肩を流れ落ちる長い銀髪が、炎を照り返しながら鈍く光った。
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