87人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺があの男を憎む理由は教えてやった。あの夜を境に、“月影のスカーヴィズ”と、多くのエルシーア海賊が海に消えた。ならず者ばかりだったが、俺にとって家族みたいな連中だった。
すべてを失った俺に一つだけ残された物は、あの男への恨みだけ。だから今度は、俺が奴からすべてを奪い去ってやる。手始めに奴の作った「ノーブルブルー」を壊滅させて、二十年前の事を、俺は忘れていないと知らしめてやるのさ!」
シャインはヴィズルを見つめたまま身を強ばらせた。
おぼろげながら見えてきたその事実に気付いて。
「アストリッド号を……そのために君が……?」
油断なく剣をつきつけているヴィズルが、肯定するように口元を歪ませる。
そして苦い物を噛み潰したように、顔をしかめ呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!