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◇◇◇
「イストリア副長! これからどうするんですかー!」
誰何の声と共に、シャインの乗ったボートと同じようなそれが一隻、また一隻と集まってきた。
ファスガード号はどんどん沈んでいく。
周囲が暗くなってきたので、シャインは発火石をこすりあわせてカンテラに火を灯した。
「グラヴェール艦長。実は気になっていたのですが……」
隣で舵を取るイストリアが声をひそめて話しかけてきた。
「ロワールハイネス号の事かい?」
「ええ。姿が見えません。砲火を避難しているのなら、そろそろ戻ってきても良いころです。しかし……」
訊ねられる事はわかっていたにもかかわらず、シャインは思わず目を伏せた。
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