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「彼女は戻らない。エルガード号を襲った連中に奪われたようだ」
「なっ……!」
声をひそませながら、イストリアが目を大きく見開いた。
「奪われた……って、じゃ、どうやってエルシーアへ帰るつもりなんです! こんなことになるのなら、一か八かエルガードへ斬り込んだ方がマシだった! ひょっとしたらエルガードを取り戻して、ファスガードを沈めなくても良かったかもしれなかったぞ!」
思わず熱くなるイストリアを見ながら、シャインはほとほと疲れたように眉をしかめ口を開いた。いや実際は口を開くのも億劫なほどだったが。
「それはどうかな。奴らは船を沈める事が目的だった。ノーブルブルーを潰すために。ファスガード号を守れたかどうか、俺には自信がない。最も、それができたのならイストリア大尉。君達はアストリッド号を、失なわずに済んだんじゃないのかい?」
口をすぼめイストリアは、仏頂面のまま大きくため息をついた。
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