3-28 失った命と失わせた命

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「彼女は戻らない。エルガード号を襲った連中に奪われたようだ」 「なっ……!」  声をひそませながら、イストリアが目を大きく見開いた。 「奪われた……って、じゃ、どうやってエルシーアへ帰るつもりなんです! こんなことになるのなら、一か八かエルガードへ斬り込んだ方がマシだった! ひょっとしたらエルガードを取り戻して、ファスガードを沈めなくても良かったかもしれなかったぞ!」  思わず熱くなるイストリアを見ながら、シャインはほとほと疲れたように眉をしかめ口を開いた。いや実際は口を開くのも億劫なほどだったが。 「それはどうかな。奴らは船を沈める事が目的だった。ノーブルブルーを潰すために。ファスガード号を守れたかどうか、俺には自信がない。最も、それができたのならイストリア大尉。君達はアストリッド号を、失なわずに済んだんじゃないのかい?」  口をすぼめイストリアは、仏頂面のまま大きくため息をついた。
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