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「定期航路だからって、船がいる確証はない!」
その嘲笑をさらりと受け流し、抑揚のない声でシャインは言った。
「あてどなく海をさすらうよりずっといいと思わないかい? 定期航路は潮が一定の方向と早さで流れているから、商船以外の船も多く利用している」
「……」
何か他にいい方法があれば教えて欲しかった。
シャインは投げやりになりそうになる自分を、やっとの思いで鎮めた。
「……それにかけるしかないのか」
諦めたようにイストリアが言った。そして右手をシャインへゆっくりと差し出した。
「カンテラを貸して下さい。他のボートへ指示します」
シャインは黙ってそれを手渡した。
自分の顔が闇にまぎれることに安堵を覚えながら。
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