3-2 休暇

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「聞いたかい? お土産だって」 「俺はもう~お袋の顔、何年見てねぇかな……」  水兵達は少しふざけながらも、感心したようにつぶやいた。 「は、お前達も見習ったらどうだ? ほとんど酒代に消えるんだろうが」  ジャーヴィスの痛烈な批判に、水兵達は肩を落としてシュンとなった。 「……私も初任給を貰った時は、うれしくて実家へ手紙を書いたな」  ふっと鋭いジャーヴィスの瞳が細められた。  あの頃を懐かしむように。  クラウスは立ち上がり、例の鞄を両手に下げた。 「じゃ、僕はこれにて失礼いたします」 「ああ、気をつけてな。たった十日ばかりだが、せいぜい羽根をのばすがいい」  クラウスはうれしそうに晴れやかな笑顔をジャーヴィスに向けた。 「副長も……いつも気苦労が絶えませんから、ゆっくりして下さい」  思ってもみなかった候補生の言葉に、ジャーヴィスは少し動揺して、言葉を詰まらせてしまった。
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