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◇◇◇
「グラヴェール艦長!!」
誰かが肩を乱暴につかみ激しく揺すっている。切迫したイストリアの声。
シャインははっとして目を開いた。
空は青くどこまでも広がっていて、温かい太陽の光がマスト越しに差し込んでいる。夜はとっくに明けて軽く三、四時間はたっているようだ。
首を動かすと隣でイストリアが、太陽の光に茶色の髪をきらめかせながら、じっとシャインの顔をのぞきこんでいた。
「よくお休みになられたようですな」
浅黒い角張った顔には、意地悪な微笑が浮かんでいる。その意味を悟ったシャインは大きく身を震わせた。
「舵……!」
ふんとイストリアは鼻を鳴らした。
「帆桁に頭ぶつけて起こされましたからね。おかげであなたが眠り込んでから、どれ位ふらふらと流されたかわかりません。でも、見て下さい!」
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