3-28 失った命と失わせた命

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 ◇◇◇ 「グラヴェール艦長!!」  誰かが肩を乱暴につかみ激しく揺すっている。切迫したイストリアの声。  シャインははっとして目を開いた。  空は青くどこまでも広がっていて、温かい太陽の光がマスト越しに差し込んでいる。夜はとっくに明けて軽く三、四時間はたっているようだ。  首を動かすと隣でイストリアが、太陽の光に茶色の髪をきらめかせながら、じっとシャインの顔をのぞきこんでいた。 「よくお休みになられたようですな」  浅黒い角張った顔には、意地悪な微笑が浮かんでいる。その意味を悟ったシャインは大きく身を震わせた。 「舵……!」  ふんとイストリアは鼻を鳴らした。 「帆桁に頭ぶつけて起こされましたからね。おかげであなたが眠り込んでから、どれ位ふらふらと流されたかわかりません。でも、見て下さい!」
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