3-29 選択

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 何故?  なぜ?  底などあるのだろうか。  一辺の光すら射さない闇の中で、俺はただ、落ちていく。 身を切るような水の冷たさに手足の感覚はすでに無く、息も続かないというのに、意識だけは異様にはっきりとしている。  俺の体から手を離さない、青ざめた顔の男が耳元で囁いた。 「お前は選んだのさ」  ――選ぶ? 「そうだ。お前は、生きる者と死ぬ者を選んだのだ」  ――それは……。 「お前はファスガード号の者達を生かすために、俺達、エルガード号を見捨てた」 「見捨てたんだ。俺達を」
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