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「気のせい、だろうな」
人の気配はする。しかも大勢の。
ゆらゆらと揺れる帆布のカーテンの向こう側は、ずらりと並んだ大砲の上にハンモックを隙間なく吊り、ウインガード号の非番の水兵達が眠っている。
ファスガード号の生存者たちもここと、さらに下の甲板に収容されているから、それこそ寝返りなどできないくらい多くの人間でひしめきあっている。
そういえば、夕食時だっただろうか。
痩せぎすで背の高いウインガード号の副長ウインスレッドが、ウェルツ艦長に不満を漏らしていた。
『水と食料をどこかで一度補給せねばなりません。ファスガード号の生存者を乗せたせいで、一週間分の備蓄が三日でなくなります!』
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