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イストリアは辛辣な口調でそう言うと、充血した目でシャインを睨みつけていた。
彼もまた、生きる者と死ぬべき運命の者を選んだのだ。
ウェルツ艦長への報告を終えて部屋を出た時、イストリアがひっそりと口を開いた。
『グラヴェール艦長。あなたが下甲板に降りていった時、正直もうだめだと思いました。けれど、あなたは船が沈む寸前で甲板に姿を現した。それを見た私は心の底から喜びましたよ。何故だかわかります?』
『……』
喜んだといいながら、シャインを見下ろすイストリアの微笑は固く強ばり、唇が斜めに引きつっている。言葉とは真逆の冷たさだった。
『よくぞ生きて下さった。あなたが出した多くの犠牲の責任をとって下さるために!』
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