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『もっとも、自殺志願なら止めないわ。飛び込むなら何か重しを体につけないと、すぐ浮かび上がって死に損なう。砲弾がいいわ。あなたの後ろにいくつも転がってる。それを足にくくりつけたらどう?』
誰だ?
シャインの意識は海から逸れた。
同時に、自分が思っていた以上に、船縁から身を乗り出していた事に気付いた。船が波に持ち上げられた拍子に、シャインの足が宙に浮く。
「――くっ!」
シャインは咄嗟に両手に力を込めた。このままでは海に落ちてしまう。
船縁に爪を立て、前のめりに体が引きずられていく事に必死で抗う。やがて船が波を乗り越えた。
「うわっ!」
船が元の水平に戻ろうとする反動で、シャインの体は後方へ倒れた。
甲板に投げ出される格好でひっくり返る。
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