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『ふうん。そうやって現実から目を逸らして生きていくのね。あなたは』
『違う……俺は……』
シャインは声に答えながらも、自分の意識が眠りの淵へ滑り落ちていくのを止めようとしなかった。
眠りは辛い現実からの逃避だ。
だから三日間それを拒み続けてきたけれど、澱のように溜まった疲労は体を蝕み限界だと悲鳴を上げている。今日は起きているのに白昼夢を見ているような、そんな危うい感覚をずっと引きずっている。
『どんなに自分を責めたって、誰もあなたを助けることはできない』
気配がした。
シャインを見下ろしているのか、先程よりずっと近くで声が聞こえる。
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