3-30 残されし者達

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『声をきいたの。魂が叫ぶ嘆きの声を』  女の髪が小波のように揺れ、朽ちた薔薇の香りがさらに強くなった。  それを吸い込む度に、体から力が失われていく。  抗う気力が失せていく。 『それは……俺じゃない』  女は静かにうなずいた。 『わかってるわ。でもこの声は、ずっとあなたに付きまとう。あなたが生きている限り――ずっと』  女の銀の瞳が星のように瞬いた。 『どちらを選ぶの? 苦痛からの解放の死? それとも……』  黒い長手袋をはめた女の右手が音もなく伸びて、青ざめたシャインの額にかかる乱れ髪をそっと払う。  女の手は水のように冷たかったが優しかった。  シャインは不思議な感覚を覚えながら、女の瞳を見つめた。
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