3-30 残されし者達

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『あなたを通して感じるわ――初めは可哀想なアストリッドお姉様。散々屠ってきた海賊に、まさか、自分が沈められるなんて思ってもみなかったでしょうね。ファスガードはどこまでも妹思いのお人好し。ルウム艦長の死ですっかり弱気になってたみたい。エルガードは……』  ウインガードは形の良い小さな唇を噛みしめた。 『……』 『ウインガード』  黙ったままの船の精霊にシャインは呼びかけた。  彼女が何を見ているのか、容易に想像できる。 『俺は……忘れない。俺が、エルガードにしたことを』  ふわりとウインガ-ドの漆黒の髪が夜の闇を覆うように広がった。  切れ長の銀の瞳が三日月のように細められ、ウインガードは胸の中の汚いものを吐き捨てるように呟いた。
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