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シャインは息を吐いた。
唐突に何もかもが億劫になった。
自分の置かれた状況も。
考える事も。
口を開く事も。
息をするのも。
『疲れたよ。ウインガード……』
『そう。なら、休みなさい』
だがシャインは、塞がりかけた目蓋を意志の力で見開いた。
『眠りは現実からの逃避だ』
『いいえ。あなたは逃げてなどいないわ。疲れたから休む。それはあなたの心を癒すためにも必要な事』
『いいや、きっと俺は夢を見る。闇の海を覗きこみ、この手で切り捨てた人々に沈められる夢を』
ウインガードはそれを咎めるように首を振った。
ゆっくりと身をかがめ、シャインの耳に唇を寄せる。
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