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『あなたはもう選択したじゃない。その現実を抱えて生きていく事を。忘れないで。あなたを赦すことができるのは、あなたが殺した人々やエルガード達じゃない。あなた自身なのよ』
『ウインガード』
屈めていた体を起こした船の精霊は、その姿を徐々に夜の闇の中へと溶け込ませていた。シャインはそれを目で追った。
『ウインガード、ありがとう』
『あら。何のお礼かしら?』
甲板に届く程長い髪を右手で絡め、ウインガードが小首を傾げる。
『君が声をかけてくれなかったら、俺は多分、海に落ちていた』
ウインガードはふっと唇を歪めて笑んだ。
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