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その後、シャインを乗せたウインガード号は、約ひと月の航海を経てアスラトルへ帰港した。
◇◇◇
「どうするつもりだ? ツヴァイス」
「……どうするつもりとは? グラヴェール参謀司令どの」
ツヴァイスは銀縁の眼鏡をかけ直した。
人目を忍ぶ事ができる唯一の場所。海軍本部内のアドビス・グラヴェールの執務室に呼びつけられたツヴァイスは、不快さを露わにしながら渋々やってきた。
いつもならアドビスの話に取り合わないが、今回だけは特別だった。
「ノーブルブルーはお前の管轄だ。海賊退治に行くのは一向に構わん。だが」
アドビスは優雅に足を組み、応接椅子に肘をのせた。
鋭く光る鷹のような瞳で、正面に座るツヴァイスをじっと見据える。
「どうするつもりだ。ノーブルブルーの船を三隻も失ったのだぞ。アリスティド閣下が、お前の話を聞きたいと言っている。最も、私もだがな」
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