3-3 想いはエルシャンローズと共に

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 御者はシャインが隣に乗り込んだのを確認してから、白い馬にひとむち当てて馬車を走らせた。 「……軍人さん、グラヴェール家のお知り合いで?」  シャインは話しかけてきた御者をうっとおしく感じた。  が、そんなことはおくびも出さず、前を見たままうなずいた。 「ちょっと用事があってね」 「ふーん……」  御者はまじまじとシャインの顔を見つめた。 「何か?」  少し刺を感じるその言い方に、御者はあわてて愛想笑いを浮かべた。 「いえ、今日はグラヴェール家のお屋敷は、観光客出入り禁止なんですよ。だから、一族の方々がお集りになるのかな~と思いましてね」 「観光客?」  シャインは御者の問いには答えず、反対に聞き返した。  馬車は古都アスラトルの街を<東区>と<西区>に分けている、エルドロイン川の石橋へ差しかかった。川岸沿いにある造船所からはうっすらと白い蒸気が上がって、黄昏の空へ雲のようにたなびいていた。
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