3-3 想いはエルシャンローズと共に

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 先日、海賊ストームに捕われた部下を助ける為、シャインは自ら虜になる事にした。  それは副長ジャーヴィスの横ヤリが入った為、未遂になったのだが。  シャインはアドビスが自分の為に、海賊に身代金を払うかどうか試してみたいという気持ちがあった。九割がた、絶対に支払うわけがないとわかっていても――心の中で思っていた。  自分が捕われている証拠に母の形見の指輪を突き付けて、もう一度彼女を殺せるのか……試したかったのだ。  これが本心だったなんて、ジャーヴィスには口が裂けても言えないが。  真面目な副長はその切れ長の目を悲し気に細めて、自分を非難するだろう。 『あなたって人は、どうしてそう勝手な事ばかりするんです!』  そんなジャーヴィスの罵声が聞こえそうで、シャインは思わず出た失笑を堪えながら肩を竦めた。
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