3-4 声にならない言葉

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「――俺にもその権利はあるはずですが」  波間に飲まれていく花をじっと見ながら、シャインは静かに言った。  赤や黄色。白に水色。  もう黄昏が迫る。薄闇に呑まれ花の色はすべて灰色にしか見えない。 「……リオーネから聞いたのか。余計な事を」 「余計? 自分の母親に花を手向ける事が、何故いけないのです」  胸の内に高まってきた感情を飲み下し、シャインはたまらず背後を振り返った。  大樹の側に立つアドビスの突き刺すような青灰色の目が、真っ向から光っていた。 「それが、余計だと言っているのだ」  相変わらずかすれ気味の、無感情な声。  自分の行為が余計というならば、アドビスはここで何をしているのだろう。  少なくともエイブリーに屋敷へ戻ったことを隠し、想いに浸るように水平線を眺めていた彼は――。  シャインはアドビスから視線を逸らせた。  会話を続けることにはや、嫌気がさしてくる。
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