3-4 声にならない言葉

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「理由を教えて下さるまで帰りません」  いつもは話にならないアドビスの態度に嫌気がさして、自らその場を去るシャインだったが今日は違った。どういう心境かはわからない。  けれどここでアドビスと出くわしたのは、ひょっとしたら、母のおかげではないだろうか。  大樹に寄り掛かり、じっと水平線の彼方を見るアドビスに向かって、シャインはゆっくりと近付いた。  アドビスはいつも以上に眉間に影を落としていた。  引き締められた口が開くと、そこからは感情の籠らない言葉が発せられる。 「お前には関係ない事だからだ。だから、わざわざ言う必要もない」 「――中将殿」  アドビスとシャインは向かい合った。  アドビスは下から見上げるシャインの視線を一瞥すると、呆れたように唇を歪めた。
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