87人が本棚に入れています
本棚に追加
アドビスが自分を避けていることは知っている。
必要以上に関わりを持たないようにしていることも、気付いている。
いつも高みから小さな子供を見下ろすような、蔑みの目で見られていることにも。
瞬き一つしないアドビスの瞳を見た途端、シャインはふと半年前のアイル号の襲撃事件を思い出した。
殺されたヴァイセ艦長の言葉が本当なら――アドビスはシャインがアイル号に乗っていることを知っていて、敢えてかの船を襲撃したのだ。
それはつまり、シャインが戦闘に巻き込まれ死んでも構わないということだ。
自分の目的を達成するためならどんな手段も犠牲も厭わない。
それが、アドビス・グラヴェール――自分の知る、目の前にいる男の本性。
最初のコメントを投稿しよう!