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一体何が望みなのか。
どす黒い感情が胸の内でざわめいている。
それに身を任せるようにシャインは昏い目でアドビスを見据えた。
アドビスが唇を歪ませ、満足げに笑みを浮かべる。
初めて見た、アドビスの微笑――。
「そう、それでいい……。お前は私を憎めば良いのだ。それで気が済むのならいつまでも……な」
アドビスのがっしりとした樫の木のような指が、シャインの喉元へ更に強く食い込んでくる。
この男は一度自分の愛した者を殺した……。
だからきっと、もう一度だってできる。
シャインは目を閉じた。
そして、声にならない言葉を唇にのぼらせた。
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