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嫌々ながら振り返ってみると、そこにはシャインよりやや低い背丈の小太りな男が立っていた。
後ろにぴったりとなでつけた茶色の髪の上に、濃紺の円筒形の軍帽を被り、同じ色の外套にすっぽり身を包んでいる。
年齢は五十を少し過ぎたぐらいで、丸みを帯びた赤ら顔が、嬉しそうに輝いてこちらを見ている。
シャインの脳裏にひとつの名前が浮かんだ。
「……人事部のアルバール主任」
すると男は、さらに嬉し気にシャインへ微笑みかけた。
ただでさえ頬と頬の肉にはさまれ、細い目が線のようになっている。
シャインは自分の愛想笑いがひきつっていないことを祈りながら、軽く微笑を返した。
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