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「いやあ、アスラトルへ戻っているときいたので、お会いできてよかった」
エルシーア海軍の人事部に所属するアルバールは、丸々とした指でシャインの右手を取った。
「ジェミナ・クラス軍港で言付かっていた、ロワールハイネス号の航海長の件でぜひお話したいと思っていたんです。どうですか、あちらで一杯やりながら」
シャインは正直、今日は人と話す気分ではなかった。
アドビスとのやり取りが自分の中で尾を引いていて、食事を済ませたらさっさと眠ろうと思っていたのだ。
けれども用件が用件である。
「いろいろ候補がおりますので、立話はなんですから……」
アルバールは気味の悪い微笑みを浮かべながら、強引にシャインの袖を引っ張った。
嫌とは言えない自分に腹立たしさを感じつつ、シャインは彼に連れられて、酒場『青の女王』亭へ入った。
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