3-7 ツウェリツーチェのあごひげ

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「あの……」 「まだ三本あるから、遠慮するなって。こっちはメシと寝る所まで提供してもらってるんだ、なっ」  ヴィズルは酒ビンのコルクをくわえると、ポンという威勢のいい音を立ててそれを引き抜いた。 「さ、楽しくやろうぜ」  ヴィズルは一度渡した酒ビンを、今コルクを抜いたそれに代えると、今度は自分の分のために、新たに栓を引き抜いた。 「乾杯!」  じっとこちらを見つめ、無邪気に笑うヴィズルにつられて、シャインは小さくうなずいた。 「……乾杯」  ビンとビンを軽く合わせ、ふたりは酒を喉に流し込んだ。  セシリアの料理はゆうに二人分あった。  玉ねぎの甘味たっぷりなじゃがいものスープに、香草とともに焼きこんだメインの鳥料理、厚切りのパン。新鮮な季節野菜をふんだんに使ったサラダ。  ヴィズルはよく食べて、よく飲んだ。 a81b0103-1b57-4bde-b309-bcdd2e5cd893
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