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『今回だけは私の負けを認めよう。リュイーシャの形見だ。お前が持つがいい。だが二度と、こんな手が私に通じると思うな』
きつい口調とは裏腹に、触れているアドビスの手はとても温かかった。
あの冷たいワイン蔵へ引っ張っていった時のような、荒々しいそれとはまったく違う、大きくて優しい――父親の手。
シャインは指を動かし、そっとアドビスの手を握りしめた。
振り解かれると思ったそれは、いつまでもシャインの手を包み込むように、放さないでいてくれたのだった。
心地よい、穏やかな眠りに落ちていくまで。
【幕間】ささやかな反抗 ―完―
・・・第3話本編へと続く
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