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数日後、濁流となっていた吉野川の流れはまた静かな青い流れに戻っていた。 憂鬱な気分をブルーだって言いはじめたのは誰なんだろう。 青は穏やかな色なのに。 川の流れを見ながら、また大阪に帰って忙しない生活を送る自分を考えた。 またすぐにイライラがつのるだろう。家事にも子育てにも休みはない。 それでもわたしの中の藍色が消えたわけではない。汚れたら洗えばいい。 わたしにはいつでも帰ってこられる場所がある。疲れたら休めばいい。 そしてまた頑張る。 高く澄んだ青い空には、風に揺られて気持ちよさそうにそよぐ藍染のワンピース。 藍染は何度も何度も、染めては空気に触れさせることによってどんどん濃い青になっていく。重ねるほどに強く良いものになっていく。 繰り返す毎日が藍染のようにわたしを強くしていくのかもしれない。 来年にはもう藍は大きくなって、あのワンピースは着られないだろう。 でもまだまだ役目を終えてはいない。また受け継がれていく。その強さが藍染の美しさでもある。 家を出たところで見覚えのある車が庭に入ってくるのが見えた。 「パパー」 藍が嬉しそうに駆け寄る。 来るなんて言ってなかったのに。というよりこっちに来てから一度も電話もメールもしていなかった。 向こうから連絡が来ることもなかったのに。     
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