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会うたびにそう怒っている。わたしも同意見だ。
でも、もし男性が家事も子育てもやってくれたら、わたしはきっと自分がダメな主婦、ダメな母親に思えて落ち込むだろう。
結局自分で自分を追い込んでいる。
藍の呼吸にぜりぜりと音が混じり始めた。台風の低気圧のせいで喘息の発作が起きかけている。
「藍、吸入しとこうか」
薬で楽になると、藍は客間に敷かれた布団ですやすやと眠りにつく。
「あんたが一番辛いんは何? 広樹さんと別れることなんか、藍に父親がおらんようになることなんか、経済的なことなんか。
一番辛い方法を避けたらええ。どうやって生きても禍福は糾える縄の如しって言うやろ」
昭和の人間らしい母の言葉に少し冷静さを取り戻した。
最善の方法を選んで結婚したつもりが、今こんなに悩んでいる。
もし、今最善の選択をしようと思っても数年後にどうなっているかは分からない。
最悪を避けていけば良い。そう思えば少し気が楽だ。
団扇で藍と自分に風を送りながら、外の音に耳を澄ませた。
今まさに台風が最接近している。
外は大嵐でも、家の中は静かだ。
いろんなものに守られている。
長い苦しみの中で先人が築いてきた堤防や、建物、それを支える地盤。
その一方で廃れていく文化もある。
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