31人が本棚に入れています
本棚に追加
一瞬にして凝った汚れが全て洗い流され、純粋な藍の青さが現れたような不思議な瞬間に、わたしの中の何かも洗い流されていく。
出来上がった濃淡のグラデーションは、今までに見たどんな藍染よりもしっくりと胸に馴染んだ。そこにわたしの見たかった青があった。
藍が小さな手で染めたミニタオルは、白く染め残した部分が雲にもさざ波のようにも見える。
それは小さく切り取られた地球。
それを真っ青な空にかざして、藍は嬉しそうに笑った。
「パパにお土産にするねん!」
その笑顔を守りたい。
わたしも母になったのだと、今更のように感じた。
最初のコメントを投稿しよう!