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一瞬にして凝った汚れが全て洗い流され、純粋な藍の青さが現れたような不思議な瞬間に、わたしの中の何かも洗い流されていく。 出来上がった濃淡のグラデーションは、今までに見たどんな藍染よりもしっくりと胸に馴染んだ。そこにわたしの見たかった青があった。 藍が小さな手で染めたミニタオルは、白く染め残した部分が雲にもさざ波のようにも見える。 それは小さく切り取られた地球。 それを真っ青な空にかざして、藍は嬉しそうに笑った。 「パパにお土産にするねん!」 その笑顔を守りたい。 わたしも母になったのだと、今更のように感じた。
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