第三章

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第三章

翌朝、江戸の町は大騒ぎであった。 呉服屋の主人、かんざし屋の若旦那が惨たらしい姿で見つかったのだという。呉服屋の主人はひと月ほど前、首をばっさりと斬られ、かんざし屋の若旦那は昨晩同じように死んでいたそうだ。 この話を聞いた薬屋の主人は慌てた。何故なら、呉服屋は一の通りの突き当たり、かんざし屋は二の通りの突き当たり、三の通りの突き当たりは薬屋であるためだ。次に殺されるのは薬屋の若旦那だろう。 薬屋の若旦那は、殺された二人と同じ年でたいそう仲が良かった。若旦那は二人の無惨な死に心を痛めた。最愛の息子が憔悴していく姿に、主人もまた心を痛めた。 すっかりまいってしまった若旦那は、荷物をまとめて橋の向こうへと姿を消した。 何年も前に妻を亡くした主人は、また一人になった。
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