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「黒川彩華(くろかわさいか)さん、あの、ちょっといいですか?」
「...えっと、ここではダメかしら。」
「はい、教室では言いにくいことなので、人気のないところに。」
「...分かりました。」
読んでいた本を閉じる。
はぁ...これは何度目かしら。
この男の子は誰だろう。
別クラスの人みたいだけれど。
ガチャ
屋上の扉が開く。
青々とした空が広がる。
私の心は黒に近い曇り。
「...ぼ、僕、1年の山田と言います!
話したことがないのにいきなりすみません。
貴方に一目惚れをしました!
友達からでいいので付き合ってもらえませんか?
よろしくお願い致します!!!」
「はぁ...」
"また"、だ。
ろくに話したこともないのに、私のことを好きになる人。
中学生になってから急に告白され始めた。
しかも、ろくに話したことがない人ばかり。
ペースは月1ほど。
文化祭や体育祭など、男性と交流の場がある場合は3倍くらいになる。
それはもう、何かに呪われているのかと思うくらいに。
私、前世は女王様か何かだったのかしら。
いえ、どちらかと言うと魔女かもしれないわ。
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