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第一冠 天成
「ああ、冷たい。」
死骸の山の上で、誰かが嘆いた。
彼の伸ばす手は刃のように鋭く、そして冷たい。
どれだけの温い血を浴びようとも、依然として彼の心は熱せない。
凍り付いた鋼の心を鋳溶かすには、地獄の業火ですらも生温い。
*
滅却都市ゲヒノム。それは忘れられたモノたちが集う辺獄の都市。リージョン焼却場を覆い潰すようにして築かれたこの円形の都市には、今日も上層世界から大量のガラクタが降り注ぐ。ここでは古い街を覆い潰していつの間にか新しい街並みが築かれるなんて事は当たり前で、昨日の2階が今日の1階になるような事も日常茶飯事だ。都市の外観は日々絶えず変化し、その度に街の住民は道に迷う。
「何故、こんな場所に都市があるのだろうか?」と、都市の誰もが一度は考える。この不便な都市に住んでいれば自然とそう思うのも当然だ。一説では最初に辺獄に落とされた人間が、これから辺獄にやって来る者達の為に街を築き始めたという話もあるが、都市が出来上がってから何百年も経過した今となっては真相は定かではない。
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