ミックスジュース

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「いらっしゃいませ、あっ!」 「あーっ!」  僕は放課後、スーパーでバイトをしている。レジをしているところに、彼女が現れた。 「ここでバイトしてるんだね」 「そうなんだ~」  同じクラスの気になる彼女。僕は、なかなか話し掛けられず、もどかしい日々を過ごしていた。 「バイト代入ったら、何かごちそうするよ」 「ホントにーッ! 楽しみにしてる!」  思わず口をついて出た言葉。内気な僕に、突然、チャンスが訪れた!  神様、ありがと~~~ッ!  ー そして、バイト代が入った! ー  昼休み、学食へ行こうと廊下にいた彼女に、声を掛けた。 「今日の放課後って、予定ある?」 「空いてるよ」 「バイト代入ったからさ、この前の約束。何かごちそうするよ」 「えっ、ホントに~! いいの?」 「もちろん!」  彼女と何を話そうか、どうやって、次のデートに漕ぎ着けようか、そんなことを考えていると、ドキドキ、ドキドキ。午後からの授業なんて、全然頭に入らなかった。  ー 放課後 ー  僕たちは、駅前の喫茶店で、人気のミックスジュースを注文した。  彼女と二人、はじめてのツーショット!  僕は平静を装いながらも、ドキドキ、ドキドキ、緊張していた。 「お待たせいたしました。ミックスジュースです」  お待たせなんてご謙遜を。全然待たされることもなく、注文したら速攻出てきた(笑)! 何から話そうかなんて、考えている暇もなかった(苦笑)! 「美味しそう~!」 「だね! じゃあ、頂きましょう!」 「頂きま~す!」  彼女は目を閉じて、ストローで、  チューーーッ!  と、一口吸った。その顔に、僕はドキッとした。 「うわ~ッ! めっちゃ美味しいッ!」 「よかった!」  彼女の笑顔が、たまらなく可愛かった!  僕が飲み始めると、彼女は何を思ったのか、今度は目を見開いて、一気にストローを吸い込んだ!  コォーーーーーーッ! コッ! 「ありがとね!」 「……って、ちょっとちょっと! もうちょっと、ゆっくり話そうよ!」 「だって、話すことないもん」 「『最近どう?』とかさ~」 「最近~? 彼氏できたくらいかな」 「ん、えっ?!」 「違う学校なの。じゃあね! ごちそうさま~!」  本当に、ごちそうしただけで終わった(笑)!  僕のミックスジュースは、いろんな思いがミックスされた、複雑な味がした……。
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