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プロローグ ~『六聖剣《シックス・ソード》』堕つ~
それは突然の出来事であった。
ふいに現れた『魔人』に、瞬く間に城は蹂躙され、二百人の警備兵は組織的反抗をすることなくあえなく敗れ去った。
残るは公国最後の希望――『六聖剣』と呼ばれし聖剣を下賜された、誉れ高き六人の騎士達。
そして、決戦の舞台は城内奥の地下聖堂――。
「皮肉が効いてると思わないか? 詩に奏でる『勇者伝承』の逆を行くようだ――」
騎士の一人がそう告げたのを後の記録で読み取ることができる。
それは魔城で待ち構える魔王のごとく、騎士達が地下聖堂で迎え撃ち、攻め入る側の『魔人』こそが……そう揶揄したものか。
あくまで、『魔人』を返り討ちにできるという自負が云わせた戯れか、あるいは『魔人』の強さに悲観的な未来を抱いたが故の自嘲であったのかは、今となっては分からない。
ただ、この場合であっても『勇者伝承』になぞらえた結果が訪れたのは確かだ。
勇者生誕の地――サン・ヴァルディア公国にとって、受け入れられぬ最悪の結果が。
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「くそっ……さすがにたった一人で、ここまで辿り着いただけはある」
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