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二時間後、僕と芽里ちゃんは店内に戻る。店番を頼んだ二人は意外にぐったりしていた。
「え? そんなに忙しかった?」
小日向さんがショーケースにもたれかかりながら言う。
「いや、接客なんて普段しねーから、顔の筋肉が筋肉痛を起こしそうだった……」
それに続けて壁に背をつけた安座上くんも言った。
「キャバクラのお姉さんがマシンガントーク過ぎて……」
「安座上くんのこと気に入ったんだね。あの人イケメン好きなんだよ」
「イケメンか……ふふふ」
ゲンキンな性格で助かる。
「あ、ケーキ出来たんですか?」
「うん、お陰さまで」
僕は芽里ちゃんに持たせたドボシュ・トルタを二人に見せた。二人は少年のように目をキラキラさせてそれを見つめる。
「これがその、だぼしゅたるて、かぁー」
「言えてないですよ小日向さん」
安座上くんが耳ざとく指摘すると、小日向さんは芽里ちゃんに話しかけて誤魔化した。
「はは、良かったな芽里ちゃん」
「はい!」
彼女の嬉しそうな声を聞いた矢先のことだった。
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