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「少々骨が折れるケーキなので、芽里ちゃんに手伝ってもらいました」
お母さんは目を見開いた。
「うそでしょ! 芽里が?」
「スポンジとクリームを重ねたの」
芽里ちゃんはさっきぶたれたのも忘れて得意げに言う。お母さんは恐縮して頭を下げた。
「そんなのさせてもらって……ありがとうございます」
「いえいえ私たちより、芽里ちゃんに言ってあげてください。貴女の為に人生初の夜の一人歩きをしたんですからね」
お母さんは娘が持つケーキを潰さないように彼女の首に手を回した。目頭は少し赤くなっている。
「……馬鹿娘……。ありがとう……」
「ふふっ」
芽里ちゃんはお母さんに抱き締められると、くすぐったそうに笑った。
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