21人が本棚に入れています
本棚に追加
「どれにする? 才穂さんのケーキはどれも美味しいよ?」
安座上くんは結構面倒見がいいらしい。長身にも関わらず芽里ちゃんの目線まで屈んで一緒にケーキを眺めている。
「チョコレートケーキがいいんですけど」
「それならザッハトルテかオペラ、ショートケーキもあるね」
流石甘党、ケーキの種類をスラスラと唱える。
「うーん……」
芽里ちゃんは小さな口から唸り声を出した。小日向さんも一緒になって彼女に構っている。
「迷うねぇ、どれも美味しそうに見えるねぇ」
いや、ほぼ毎日ケーキを選んでるお客さんを眺めている僕ならわかる。この曇った顔は選びあぐねているのではない。
「欲しいケーキが無いんだろう?」
最初のコメントを投稿しよう!