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田舎の故郷で見た星空よりも、残業している奴らが少ないぢゃないか。
どうやら向こうは、都会に行くほど労働条件がいいらしい。
けしからん! たるんどる! より多くの業務を命じてやる。
なんてーー俺は上司のように言ってみる。俺の言葉に返してくれる奴は誰もいない。その愉快さに、たまらずフハッと鼻から息を吐く。
と、窓の外に奇妙なものを見つけた。
何だこれ、と目を凝らす。
それはオフィスの明かりに照らされて、か細く儚く揺れていた。
すごく……、紐……です……。
念のため言っておけば、窓に映った俺のことじゃあない。ヒモだったらそもそもこんなところでサービス残業などしているわけがない。だからと言って、俺がヒモを養っているわけでもない。
という俺のヒモじゃない理論はどうでもよい。
もう一度見ても、やっぱりそれは紐のようだった。上を見ても、開かない窓の角度では、その先は見えない。
どうしようか、と俺はパソコンをチラリと見る。
返事がない。ただのパソコンのようだ。ただしまだ仕事は終わっていない。
返事がないなら仕方ない。俺は、その紐の探索に出ることにした。
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