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「これって……」
う…嘘……俺…こんなところ…で……。そう思った途端、涙が溢れ出してきた。
「……う、…ごめん…なさっ……俺……もう、帰りますっ……!」
「あ、ちょっと……」
俺は急いで帰る支度をして、塾を出た。星野先生を置いて…。塾を出ると、俺の家の車が待っていた。後ろの席に乗り込む。今日は父さんが運転みたいだ。
「那緒、何かあったのか?出てくるのも遅かったし、泣いているように見えるが…」
俺の様子を見て変だと感じたのか、父さんは俺に尋ねる。
「な…何でもない…ちょっと先生に呼ばれて……あと、眠くて欠伸が出ちゃっただけだよ。」
「…そうか、ならいいが。」
ごめんなさい、父さん。嘘ついて…。でも、これだけは言えないから許して……。
次の日、俺は寝不足のまま学校に行った。昨夜、星野先生とヤってしまったことを思い出してしまい眠れなかったからだ。
「柊、お前大丈夫か?顔色悪いけど…。」
クラスメイトの何人か、俺の様子に気づいて心配しに来てくれた。
「あ…大丈夫だよ。ごめんね。昨日、ゲームしまくって寝不足なだけだから。」
「へぇー、柊って真面目な印象しかなかったから何か意外!今度一緒にオンラインゲームしようぜ!」
「…う、うん。ぜひ!」
こうして、クラスメイトに嘘をついたり…授業に集中が出来なかったり……散々な一日が終わった。そしてそのまま、塾に向かう。昨日のこともあって行きたくないけど…親がお金を出してくれたんだから行かないとな…。塾に着いたが誰もいなく、俺一人だった。まぁ、まだ時間じゃなかったしな…。あまりに暇だったから、授業の予習でもしようと思い、テキストを開いて予習をする。けど、眠気が激しく襲ってきた。俺の視界が歪んでくる。それにやけに…気持ち悪いような……
「いっちばーん!…って、人いたんか…はしゃいで俺、馬鹿みたい。よっ!お前早いな!」
顔を上げると、一番テンションが高くてフレンドリーな俺と同級生の生徒が俺に話しかけてきた。けど、俺はそれどころじゃなかった…。あ…駄目……吐きそう……。
「ごめん…俺…ちょっとトイレ……」
「あっ……」
俺は急いでトイレに向かった。途中で誰かとぶつかってしまい、尻もちをつく。相手は星野先生だった。
「あ…柊。悪い…」
「……っ…うぅ……」
「…柊?」
「う…うぇ……」
我慢できず、俺はその場で吐いてしまった。
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