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「えっ…柊!?」
「ゲホッゲホッ」
こんなところで吐くなんて……。それに、星野先生の前でこんな……。もうやだ…。また涙が溢れながらも、治まらない吐き気に襲われた。吐いても全然治まらない。そんな時、星野先生は背中を優しく撫でてくれる。
「大丈夫か…?我慢しないで吐け。」
「ゲホッ…ゴホッ……星野…先生……」
「大丈夫。治まるまで傍にいるから。」
何で…昨日あんなことして帰ったのに…そんなに優しくしてくれるの……?そして、やっと吐き気は治まった。
「…ご…ごめんなさい……俺…また……」
「いいよ、気持ち悪くて吐いちゃうのは仕方ないから。俺だってそういうことあるしさ。それに昨日のだって……。」
俺はその言葉にビクッと反応する。そんなことは構わず、星野先生は続ける。
「あれ、お漏らしだと思った?」
「……っ…はい…」
「やっぱり…あれ、お漏らしじゃないからな?」
「……えっ!?」
お漏らしじゃない…?じゃああれは……と思っていると奥から一人、先生が来た。
「星野先生、そろそろ会議を……ってあれ?これは……」
「……っ!ご、ごめんなさいっ…!今すぐ片付けま……」
そう言って立ち上がった時、辺りが歪んで見えた。そして、足から崩れ落ちる。
「柊っ!」
星野先生に支えられ、何とか助かった。
「木村先生、柊…具合が悪いみたいで、さっき嘔吐したんですよ。バケツと雑巾持ってきてくれます?」
「あ…あぁ…そうなんですか。分かりました。持ってきます。」
木村先生は急いでどこかに向かって行った。
「…すみません…俺のせいで……」
「いや、気にするな。今日はもう帰った方がいいよ。」
「……」
「…どうした?」
俺の体は突然、沸騰するくらいに熱くなり、そのまま星野先生のところに倒れ込んだ。
「柊っ!?」
「はぁ…はぁ……」
息が荒くなり、ぼーっとしてくる……。駄目だ…視界が薄れて……。
「……んっ」
目を覚まして周りを見ると、自分の部屋だった。…あれ?確か俺は…塾にいたはず…いつの間に家に帰ってきたんだろう。すると、部屋のドアが開いて母さんが中に入って来る。
「あ、那緒。目、覚めたのね。」
「母さん…俺…一体……。」
そう言いながら上体を起こそうとすると母さんに止められた。
「駄目よ、まだ万全じゃないんだから。あなた、その様子からして、昨日のことは何も覚えていないみたいね。」
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