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「ただいま。」
「あっ、依緒!」
依緒と那緒の母が、那緒を抱えてる依緒に近づき那緒の様子を見る。そしておでこに触れ、熱を確認する。
「熱いわね…。依緒、悪いんだけど部屋まで運んでくれる?」
「うん、いいよ。」
そう言って、依緒は那緒を部屋に運んだ。そしてベッドに寝かせる。依緒は、ベッドの端に座り那緒の頭を撫でる。
「…ったく、調子悪いのに無理するから。……おやすみ、早く元気になれよ。」
そう言って、依緒は部屋を出た。
「そんなことが……。」
「大変だったわ。帰ってくるなり、美緒が慌てながらあなたが倒れたって言うものだから。」
「…ごめんなさい。」
「いいわよ、無事で何より。でも今日は学校も塾も休むこと。いいわね?」
「…うん。」
「じゃあ、母さん買い物行ってくるから。ちゃんと寝てるのよ?」
「…うん。」
そう言って、母さんは買い物に出かけた。父さんは勿論仕事だし、依緒兄と美緒も学校。家には俺一人だ。
「…はぁ……気持ち悪い……」
昨日ほど吐き気はないけど、まだだるいし気持ちも悪い。少し、吐き気がしてベッドから起き上がり、トイレに向かう。まだ熱が下がり切っていないせいか、フラフラする。何とか壁に手をあてながら階段を降りる。その時、家のチャイムが鳴った。え…誰……?俺は、何とか階段を降り終えて、玄関のドアを開ける。すると、黒い帽子に黒いサングラス、黒いジャケットに黒いズボン。おまけにマスクをした怪しい男の人が立っていた。そして、手に持っていたものを見て体が震え始めた。
「あ…あぁ……」
男が持っていたのは銃。強盗か殺人だ。
「よぉ、お前一人か?ちょうどいい。ちょっと付き合え。」
「ひっ…!?」
男は俺の腕をとった。俺は恐怖を感じ、勢いよく振り払った。そして、走ってトイレに行き、鍵を閉めた。
「おいっ、出てこいやてめぇ!ぶっ殺されたいのか!?」
男がドアをドンドンと叩いてくる。怖い…怖いっ……!急に吐き気が襲い、俺は吐いた。胃に何も入っていないのに…。すると、男はトイレのドアを壊して入ってきた。
「あ?吐いてたのかよ。汚ねぇな。まぁ、いい。ついてきてもらうぞ?」
男の手を見ると、見慣れない薬を持っていた。そして俺に無理やり飲ませる。吐き出すことが出来ず飲んでしまった。すると視界がボヤけてきて、景色が真っ暗になった。その後のことは…何も思い出せなかった。
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