モレクとニエル

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モレクとニエル

ーコンコンー その音に目が覚めた。 目を擦りながら時計を見ると、針は真夜中の3時を指している。 枕元のライトに手を伸ばし、灯りをつけると大きめの部屋がぼんやりと照らされる。 色はピンクと白の二色だけだ。 お姫様のようなその部屋は、自分の部屋なのにも関わらず、何故だか今日は薄気味悪い。 音の犯人は誰なのか、それを探るために耳を澄ませる。 ーコンコンー 二度目のノックがなる。 部屋への入口は一つだけなのだが、そこではないのは確かだ。 その音は、信じがたいことに、クローゼットの中から聞こえる気がする。 とことん気味が悪い。 だって、そのクローゼットの中には、私のロリータ服しか入っていないのだから。 ノックなど聞こえるはずがない。 これは夢だ。 そう言い聞かせライトを消すと、私はまた目を閉じた。 数秒後。 ーコンコンー 「はぁ...」 今度は恐怖心よりも、寝せてもらえないことへの苛立ちが勝ってしまい、遂に私はクローゼットの方へと向かった。 レースのフリルが沢山着いたワンピースを引きずりながらクローゼットの前へ行く。 小さく深呼吸をして クローゼットの扉を開いた。
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