教科書通りの恋を教えて

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「いいなー、アルファとオメガは。ロマンチックだよね」 「でも、運命の番は科学的根拠なしだって」 「オメガに生まれてかっこいいアルファと恋したかった~」 「でも毎月ヒートって結構きつい?」 「どうせならアルファに生まれたかったよねー」  ざわめきの中、視線を感じてそちらを見ると、室見と目があった。黒縁眼鏡の奥にある茶色みの強い瞳に、心の奥の深いところまで見据えられているかのように感じて、ぞくりとする。室見は郁をじっと見つめながら唇の形だけで、ひとりごとを呟く。  ーーでも俺は信じてる。  室見の視線を避けるように、郁は顔を伏せてクラスに授業の終わりを告げた。
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