1279人が本棚に入れています
本棚に追加
「いいなー、アルファとオメガは。ロマンチックだよね」
「でも、運命の番は科学的根拠なしだって」
「オメガに生まれてかっこいいアルファと恋したかった~」
「でも毎月ヒートって結構きつい?」
「どうせならアルファに生まれたかったよねー」
ざわめきの中、視線を感じてそちらを見ると、室見と目があった。黒縁眼鏡の奥にある茶色みの強い瞳に、心の奥の深いところまで見据えられているかのように感じて、ぞくりとする。室見は郁をじっと見つめながら唇の形だけで、ひとりごとを呟く。
ーーでも俺は信じてる。
室見の視線を避けるように、郁は顔を伏せてクラスに授業の終わりを告げた。
最初のコメントを投稿しよう!