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ヒート……? どうして?
抑制剤は今朝も忘れず飲んでいる。それに前回のヒートは一週間前。次のヒートには早すぎる。
まさか、彼ーー室見の近くに居すぎたから……?
目の前に膝を付いて自分を伺う室見を見つめる。まだ幼いとも言える彼の僅かに開かれた唇から赤い舌がのぞいて、その唾液で濡れた様子にごくりと唾を飲み込む。触れられた手に手を重ね、自分の中心に導いて……。
ーーいけない。
慌てて首を振った。そして近くにあった薬さじの柄で自分の太股を突き刺すように抉る。激しい痛みにヒートにうかされた頭が数秒醒める。こんな密室でアルファと……ましてや室見と二人きりで正気でなどいられない。とにかく退室して保健室か職員室に備えてある特効薬を打つ。急ぎ立ち上がり出口に向かうが、震える身体は強い力に足を掴まれて床に引き倒された。のし掛かってきた室見の瞳は潤み、頬を紅潮させて、明らかに欲情していた。オメガのヒートに誘発されたアルファのヒートが既に始まっていた。常からは想像もつかないような強い力で押さえつけられ、服を引きちぎるように脱がされる。
「室見、離せ! 今、だめだ、今、俺は、逃げ」
混乱した頭のまま言葉を紡ぐ口が塞がれる。開いていた口の中に舌が入れられ粘膜同士が触れると、ビリッと音がしたのではないかというほどに全身が痺れた。手で室見の額と肩を押して抵抗するが、股間を強めに掴まれて手の力が抜ける。
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