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「担任の明科郁です。至らないところもあるかと思いますが、みんなの力になれるよう一生懸命頑張りますので、よろしくお願いします」
担任の挨拶にしては少々堅い、と最初だけ付いてくれていた教頭は後でそうコメントした。
中学二年生の担任を受け持った郁は、何もかも初めてのことばかりということもあり、緊張していた。先生が緊張すると生徒も緊張するから、とよく周りに注意された。
「大丈夫かあ? 明科先生。そんながっちがちで……。俺も人のこと言えねーけど、ま、生き物相手の仕事だから緊張するけど、おんなじ学年だしフォローしあって頑張ろうぜ」
この春一緒に採用された西条達馬(さいじょうたつま)は、気さくな性格で、同じ学校に配属されたと知った時はとても安心した。何事にも動じずに、何でもそつなくこなすように見える西条は、採用時の辞令交付式では新任教職員代表者として服務の宣誓をしていた。
「隣に西条先生がいると思うと心強いよ」
にかっと爽やかに笑う西条に、郁は静かに笑い返した。
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