第2章 異世界王子様☆ユーマの気概

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「珍しいじゃん、酒なしは」 「今日は現場に役人が来んだよ、プンプン酒の匂いさせていられねぇだろ」 「河川工事の現場だっけ?」 「去年、南の村が3つやられちまったからなぁ」 「洪水対策か?水害は大変だな」  つい災害大国日本を思い浮かべる。だがやはりここは異世界らしい。 「それだけじゃねぇよ。魔族が壊しやがったんだ」 「魔族・・・」 「魔王復活でここのところ、魔族が活発化してんだ。堤防を壊したのが悪鬼(トロール)だってんで、上位魔族のトロールの血を塗り直して補強すんだ」 「上位魔族?」 「壊された堤防には芋虫(ブラックワーム)の血しか塗ってなかったんだよ。だから壊れちまった」  魔族を殺すには魔族から作った武器で、魔族を阻むのは魔族の血で描いた防御陣で、というのがここの常識らしい。その効果は魔族の強さに()るらしい。  つまり魔族を倒すには、その魔族より強い魔族から作った武器や血の防御陣が必要ってことらしい。 「・・・ブラックワームより、トロールの方が強い?」 「あったりまえだろ。トロールは知恵があるし動きが速いんだ。村を襲ってきた時も1匹殺すのが精一杯だったらしいぜ。まぁその後、騎士団が配備されたらしいし、勇者も現れたって聞くから、その内まとめて退治してくれるんだろうが」 「勇者・・・」  久しぶりにきいた勇者の噂話だ。
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