真夜中の病棟で

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気が付くと、星は、ひとつではなく、いくつもの、いや、無数の小さな星が、空から、僕のすぐ足元まで続いていて、それは、まるで、空に登る道のようだった。 そして、その星の道のはるか上のほうで、スキップをするように踊っているのは、きっと、さやちゃんだ! 星の上のさやちゃんは、あのバッグから、何かを取り出したように見えた。 あのときのボールだ! あのボールは、本当に、空まで飛んで行ったのだ。 僕とキャッチボールをするのを待っているように、さやちゃんは、そのボールを僕に見せて、そして、また、ダンス。 いかなくちゃ。 僕は、星の道を走り始めた。 星の道を、さやちゃんが待つ空へ向かって。 走って、走って。 そして、僕は、自分がふわっと地面から浮き上がるのを感じた。 ああ。 星になったみたい。 僕は、そう思った。 なんだか、とてもしあわせな気持ちだった。
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